道ログ2

群馬県在住のおじさんがブログを書く

俺たちにとって節分に恵方巻は新しくて珍しい

 大都会群馬に産まれて37年経った。今日は節分だった。俺は仕事なわけだが、実家にては節分の豆まきが行われた。近所のおじさんいやおじいさんがやってきて、子供たちのために豆まきをしてくれる。
 そのおじいさんは俺が小さい頃から節分の日の夕方やってきて、福豆をばら撒いていった。
 「おには〜そと! ふくは〜うち!」
 見事なまでのその声は、冷たい空気を更に引き締めるように感じたし、それでも「食べ物をやたらめったらばら撒いてなおかつそれを拾って喰う。」という非日常のイベントにわくわくしたような記憶がかすかに残っている。
 小さな頃から豆は大好きだったし、この節分の福豆も大好きだったからなおさらだったのかもしれない。当時まだ元気だったばあちゃんが、拾った福豆を急須に入れて福茶を入れてくれる年に一度の日だったかもしれない。おそらく両方だと思う。

 時は流れ今、節分にやってくる鬼のおじさんはおじいさんになり、声に張りもなくなったし、よぼよぼしてるし、プルプル震えるようになった。
 だが、平成の鬼は進化も遂げていて、俺の小さい頃は裸の豆だったのに、小袋に入った福豆を撒くようになったし、今の小学生が喜ぶようにと、落花生やチョコレートやビスケットなどを大量に撒いてくれるようになった。さらには、おひねりということで、小銭まで撒いてくれる、とても年金暮らしとは思えない鬼に成長していた。

 上は小学3年生から下は3歳までの男の子、6人が参加した豆まき?は今年も盛況だったらしい。
 上の子達はお菓子には目もくれずお金を目指し、小さい子達はチョコレートを追い掛け回すというお約束があり、鬼のおじいさんと奥さんであるおばあさんが頑張って鬼のお面をかぶっているにも関らず、誰も泣きも笑いもしないというそのシュールさがまた、たまらなくほほえましい。
 なにより、そうやって子供たちのために一生懸命準備してくれている鬼の夫婦に家族一同感謝感激なんである。今の子供たちも、そういう小さなイベントも大好きだ。毎年楽しみにしているのは間違いない。

 さて。
 恵方巻、である。
 俺が「節分に恵方巻」というのを初めて見たのは、昔少女向け4コママンが「×ーペケー」というのがあって、そこに一度だけ描かれていた時である。そしてそれが最後でもあった。少なくともここ数年前までは。ちなみにその漫画の中では「豊臣秀吉説」だったのだが、今ウィキペディアを見たところ、その節にはかなりの疑問符がつけられているようだった。どうでもいいんだけどね。

 節分に恵方巻っつーか太巻きを黙々と食べるという習慣があるというのは近年、デパートやコンビニなどで盛り上げられているので、広く知れ渡っていることとなった。大都会群馬県民としてはかなり違和感があるけど。どうやら大阪とかそっちの方で戦後しばらくした頃からの風習ということで、うんたらかんたら。。。。 なんかこんだけ曖昧で根拠の薄いものをいちいち説明しようとしている自分が面倒くさくなった。

 で、以下今朝テレビでちょっと言ってた俺の脳内ソース。

 「恵方巻(太巻)の正しい食べ方」
1、夜になって食べる
2、家族揃って食べる
3、その年の恵方(今年は南南東?)を向いて、切らずに黙って願い事を願いながら食べると願いがかなう

 ということらしい。

 まあ、好きにすればいいんだけどさ。
 俺的には、バレンタインのチョコとか、クリスマスのケーキとか、土用のうなぎとか、そういうもんと変わらない現象か商戦かと思ってたんだけど、「願いがかなう」と言われてしまうとすごい嫌だ。きっとその、みのもんたの出ているテレビの前で俺は嫌悪感の塊になっていたかもしれない。
 古来よりの伝統や風習にはそれなりに意味があったりするし、そこには神様がいるわけだし、なにより全国各地に伝わる祭を紐解いていけば、必ず原点には信仰があるものなのだ。だからこそ、意味が薄れようとも、形を変えずに行われてきたりして、それが伝統や風俗として残っていたりするものなのだ。
 それは、「祈り」や「祝い」に通ずる儀礼でもある。家内安全や、五穀豊穣を祈り、実りを祝う儀式であったりしたわけだ。
 また、近年の商業的なイベントにしても、バレンタインデーは日本では、好きな人に想いが届けと祈り、クリスマスには大切な人と過ごせるようにと祈り、本来は、粛々と主の誕生日を祝うような日である。はずだ。

 だが、どうしたことか、恵方巻に至っては、「願いがかなう」とかいう、万能感ありまくりな触れ込みになっちゃった。それはテレビが勝手に言ったのか、食品業界が勝手に言ったのかはわからないが、「流れ星に三度願いを唱える」くらいのハードルが、「年に一度太巻きを黙々と喰う」程度にまで下げられてしまった。なんという、傲慢なイベントであろうか恵方巻
 はっきり言って、この恵方巻パワーが蔓延してしまうと、それ以外の定期イベントがなくなってしまうかもしれないっていうレベルだ。

 ・・・・・ とまあ、色々言いたいことはあるんですけど、言っても仕方ないし、言えば言うほど自分が惨めなのでやめちゃいますけど、結局のところ、俺、太巻き寿司、嫌いなんですよね。