道ログ2

群馬県在住のおじさんがブログを書く

教師が生徒の親を訴えた。学校は後ろから応援した。「がんばれ俺たちの代表! モンペに負けるな!」と校長以下一同。

 んーと。。。
 まあ、教師が保護者を訴えることには何の問題もないと思うよね。保護者も報道各社の取材にほいほい答えてるみたいだし。特にこれとか

訴状などによると、昨年六月、女子児童とほかの女子児童の間でトラブルがあり、教諭が解決のためクラスで話をしたところ、その日の夕方、母親から「相手が悪いのに娘を謝らせようとした」などと非難する電話があった。

 その後、七月中旬まで八回にわたり連絡帳に、「先生には人間関係を円滑にする能力も著しく劣っている」「自分の感情で不公平なことをして子どもを傷付けている」などと書き込まれた。また、県教委や人権擁護委員会、文科省にも教諭を非難する文書を送ったり口頭で伝えたりしたという。

東京新聞

 改めて朝日新聞から引用します。記事全文です

 埼玉県の市立小学校に勤務する女性教諭が、再三クレームを受けて不眠症に陥ったとして、担任する学級の女子児童の両親を提訴していたことがわかった。慰謝料500万円を求め、さいたま地裁熊谷支部で係争中だ。文部科学省によると、「保護者が学校を訴える例はあるが、逆のケースは聞いたことがない」という。

 提訴したのは昨年9月。訴状などによると、教諭は1991年に教員になり、昨年4月からこの女児の学級を担任。同年6月、女児と他の女子児童とのいさかいを仲裁した際、母親から電話で「相手が悪いのに娘に謝らせようとした」と非難された。

 これを皮切りに、同月末から7月中旬にかけて、児童の近況を伝える連絡帳に母親から「先生が自分の感情で不公平なことをして子どもを傷つけています」などと8度書き込まれた。

 さらに、父親や母親から文科省や市教育委員会に対し、口頭や文書で批判されたほか、女児の背中に触れただけで警察に暴行容疑で被害を訴えられたという。

 こうした一連の行為により教諭は不眠症に陥り、「教員生活の継続に重大な支障を生じさせられた」と主張している。教諭ら学校側と両親が話し合う場も設定されたが、両親が拒否したという。

 小学校側は提訴の翌月、市教委に対し、「モンスターペアレンツに学校や教師が負けないようにし、教諭が教員を代表して訴訟を行っていると受け止めている」という校長名の文書を提出している。

 両親は訴訟の中で、連絡帳への書き込みについて「娘は繰り返し嫌がらせや差別をされ、ストレスで体調が悪くなっている。このままでは学校に行けなくなってしまうので、抗議した」と説明。市教委に文書を提出した点については「教諭が話し合いを拒否している。娘が安心して学校に通うための正当な行為」と主張し、訴えを退けるように求めている。

 朝日新聞の取材に対しては「娘は担任教諭から、ほかの児童の前で数十分間しかられたり、授業中に手を挙げても無視されたりするなど差別的な扱いを受けた。訴えられるのは心外で、学校側も実態を調べないで自分たちをモンスターペアレンツに仕立て上げた」と話している。

 小学校の教頭は取材に対し、「教諭と保護者のそれぞれの人権を尊重しているため、コメントできない」、市教委は「訴訟中なので、何も答えられない」としている。
(asahi.com)


 ようは、教師と保護者(児童)間の二者の対立なんだけど、保護者側は「対教師」と一応言っていて、教師側は一応個人で提訴したんだけど、学校がなぜか後押ししてる。
 ちょっとみただけだと、根性なし教師みたいに見えなくもないんだが、「暴行かどうか微妙な行為をもって警察に被害届けを提出した」というこの保護者も、相当な資質だと思える。
 「連絡帳に8回書かれただけで・・・」と思ってしまってはいけない。それはきっと裁判の証拠になるものが今のところそれしかなかっただけで、それ以外にも電話や、匿名での怪文書などもあったかもしれない。さらに、

 「また、県教委や人権擁護委員会、文科省にも教諭を非難する文書を送ったり口頭で伝えたりしたという。」

 これだ。
 教師とは公務員で、根っからの組織人。それが、煮え切らない問題でここまでやられてしまっては、サスガにおちおち寝ていられないのではないかとも思えなくもない。なにせ公務員の上のほうの人ときたら、そういう些細なクレームに対しては異様に敏感であろうからなあ。保身とか保身とか保身とか。。。

 少なくとも報道を見る限り、

 小学校側は提訴の翌月、市教委に対し、「モンスターペアレンツに学校や教師が負けないようにし、教諭が教員を代表して訴訟を行っていると受け止めている」という校長名の文書を提出している。

 という、学校公認のモンペであることには疑いがないと思えてくる。
 両親側は

 訴えられるのは心外で、学校側も実態を調べないで自分たちをモンスターペアレンツに仕立て上げた

 と主張しているらしい。「仕立てあげた」かどうかはわからんが、認定されてるのは間違いないようである。
 俺がここまで見てきて思うのは、事実関係がどうであれ、保護者側のやり方が下手だと思う。仮にその児童の言うことが本当で、保護者の主張が真実であったとしても、連絡帳の書き込みまではいいとして、市教委だの人権擁護委員会だの文科省だのに批判文書などを送ったり、大した怪我もしてないのに警察に被害届けを出しちゃったり、というのはさすがに批判されても仕方ない。
 はっきり言ってモンペ間違いなし。

 だが、一方で学校側のこの情けなさはなんだ。一人の教師が保護者との関係で悩んでいても、学校や教育委員会としてはなにもできないのか? なにもしないのか? 少なくともこの教師は「どうせ学校も教育委員会もなにもしてくれやしない。」と思ったからこそ一人で提訴したんだろう? そんでもってそれを、「モンペと闘う教師かっこいい! 頑張れ〜!」って校長名でコメント出すってどうなのよ。
 担任vs保護者という図式は正しいの? それってシステムとして間違ってない? 学校としてこういう事態に発展したことを悔やんでおかないと、教師にとっていい結果になったとしても、教育現場としては喜ばしくないだろう? これ。

 児童の教育をするのは教師ですよね。担任ですよね。でも、その親の面倒まで担任が見なきゃいけないんですか? 無理だろそんなの。学校としてきちんと対応する仕組みを作るべき。

 まーそれにしてもここの親も裁判の証拠にと子供にICレコーダー持たせたりなんだりしてるみたいだけど、なんだろね。なんなんだろね。
 親として、大人として、子供のことについてどれだけ学校、教師に相談してみたんだろうか。どこまで努力しての、この経過なんだろうか。そこが報道からはみえてこないんだよね。
 報道には「話し合いの機会を設けるところ、両親側が拒否した」という記述もあるけれど、最初から話し合うことをしていないのであれば、この、児童が不憫すぎる。大人はなにもしてくれない。ただ文句を言い合うだけだという、絶望を抱えて生きていかなくてはならない。3年生。女子。もう、かなり敏感な年齢だよね。
 どうぞ、子供たちが将来に希望が持てるような大人としての振る舞いを見せてあげてくれ。たのむ。