道ログ2

群馬県在住のおじさんがブログを書く

ライフハックという言葉は知っていたが、その意味はつい最近知った。

 どーにもはてな界隈で流行っているものは苦手で、俺の生きてる現実世界で話題に上ったことがないし。

 「早寝早起き」を例にライフハック記事を解体してみる(G.A.W) で、nakamurabashiさんが語ってた。先日からnakamurabashiさんはライフハック愛好家で、今回のエントリについてもネタカテゴリに入れるほどの熱の入れようで、詳しい話はそちらをお読みください。

 そんで、ライフハックってなんなのよってことなんですが、「効率良く仕事をこなし、高い生産性を上げ、人生のクオリティを高めるための工夫。」だそうです。くそくだらねーです。そんなもん自分で考えろって思うんですが、世の中のビジネスマンとかってのはそういうのが好きで、多分「手帳術」とか「付箋術」とか「収納術」とか「ノマド」とかそーいうのがきっと、ライフハッカーたち御用達のアイテムになってるんです。
 クオリティの低い人生ってなんだよ。大きなお世話だバーカ。

 nakamurabashiさんも言ってますが、そーいうのは成功事例の紹介であって、必勝法ではないし攻略法でもないんですな。よく営業の研修なんかで「ナンバー1営業マンの本は読むな」と言われるのと同じです。
 その著者は出来たからナンバー1になっただけで、そのマネができるくらいならみんなとっくにナンバー1になってるし、できないからこそこんな研修を受講させられてるんだろ? っていう、ありがたい講師の話を聞いたことがあるんですよ。
 
 そう。「できない」んですよ。人は。圧倒的大多数の人は「できない」んです。でも「しなきゃならない」んでしょ? だったら「できますよ」って言われりゃ「へー。」って思うじゃん。
 でも、できねーよ。そんなの。そんなに簡単にできるようになるならライフハックなんて言葉がないっつーの。
 もっと言えば、結局みんな「そんなことできなくてもいいや」って思ってて、なんとなく周りもやってるっぽいしできてないとダメな人っぽい扱いを受けるから努力はしてなきゃっていう感じでしかないでしょ? 早寝早起きだって、別に遅刻しないように身支度整えられれば、朝ごはん抜いたって午前中ぼーっとしてりゃいいや、程度にしか思ってない人の方が多数でしょ?

 とか言ってしまうと身も蓋もないので、俺が思ったライフハックって「正当化」でしかないんですよねー。という話をしようと思う。

 nakamurabashiさんが早寝早起きを取り上げてるから、そっちに頭が行ってしまうんですが、でも早寝早起きをはじめとする規則正しい生活って、仕事効率アップとかのもっとも基本的かつ重要なことだと思うのでそういうことで言うと、その規則正しい生活を送るっていうことを前提としていない世の中になってるからこそ、その重要性を主張することで自分たちの行動を正当化してみるというような、そんなあがきに見える。

 ここでの「誰が」ってのはわからなくて、おそらくそれは、ビジネスの世界の上の方のひと? 経営者たち? 政治家たち? そういう人とか、ビジネスマンにいらぬ価値観を植え付けたい人とか、そういう陰謀も含めてなんですけどね。

 要はライフハックだかなんだか知りませんが、人生を豊かに送るとかっていうことを考えたいなら、自然に近づけばいいってことには簡単に行き着くでしょ。早寝早起きなんてその最たるものでしょ。
 太陽が上ると共に目覚め、日が沈んだら家に帰る。夜は寝る。それだけでしょ。
 これね、ただたんに健康法とか気力の充実とかそういうことじゃなくて、思いっきりこれ、農業や水産業やそういう業界のライフサイクルでしょ? 自然の中で、自然を相手に活動するには自然のリズムで生活してその中で仕事をしていかなければならない。それこそが自然な姿であって、その中に幸せがあってそこから人生が豊かになるっていう、そういうことなんじゃないのかね?

 そんでも、現実、何十年か前に「24時間働けますか?」なんていうのが流行しちゃうくらいに生活のリズムって変わってきた。24時間営業は当たり前になったし、夜遅くても遊びに行くところも多くなった。昼となく夜となく人々は行動することができるような社会基盤を作ってきた。成長という名の下に。そういう世の中であって、働く人たちの働き方も様変わりしてきた。定時なんていう言葉は幻のようになって、早出残業休出当たり前とかそういうことも含めて。アルバイトの人たちがコンビニやレストランや工場で夜中も働き続ける。

 そういう社会で「ライフハック」が何を果たすのか。それでも早起きは大事だと唱えることで、健康で効率よい暮らしを手にすることができると言う。夜は早く寝ることのもたらすメリットを唱えて、豊かな生活が手に入ると言う。
 「それなのにそれができないで、豊かじゃない時間がない眠いというのは、お前ができないからだ。お前がダメなのはお前の責任だ。」
 
 そう聞こえる。

 俺はすっかり早寝早起き人間になってきたけど、確かに夜ふかししてた頃よりよっぽど穏やかな生活になったと思う。ごはんおいしいし、体調いいし、色々やる気出るし。
 でも、朝寝坊夜ふかしの人に「早寝早起きしなよ。」とは言わない。「早寝早起きいいよ。」とは言うかもしれないけど。
 だって、夜型の人は夜の楽しさ知ってるし、朝辛いのだってわかってて夜型だし、辛い朝を毎日過ごしてもそれでも夜が楽しいからやってるだけだろ? 夜型だってじゅうぶん豊かな人生だろ。
 それによって手に入るどーでもよくてクソくだらない情報が、自分をどーでもよく力づけてくれたりすることだってあるし、「世の中には俺と同じくダメな奴がきら星のごとくいるな」と思えれば明日もなんとかやってみようと思えたりもするわけだよ。

 品行方正であることは素晴らしいことだけど、みんなが品行方正であらなければならないとは思わないし、品行方正でない人たちだって、それぞれ豊かな人生を送っているんだよね。

 みんなができない/やりたくないことを、できる/やっている人を持ち上げて「この人は上手です。豊かな人生です。」って言うのは、「この人は背が高いからバスケットボールが上手です。」って言われてるのと変わらなくて、それを聞いた身長の低い人が「すごい! じゃあ俺も背が高くなりたい!」って言いながらぶら下がり健康器を買うのとあまり変わらないんじゃないかなと思う。目覚ましを工夫したり手帳を買ったりするのとはね。

 大事なのは、早寝でも早起きでも食事でも読書でもなんでもいいんだけどさ、自分にとって何が必要なものなのかっていうのをちゃんと考えて選べないとダメだよね。つまりそれは「自分にとって豊かな人生とはなにか。」ってことをまず考えないと。
 仕事なんて給料もらうだけのもので、与えられた範囲の仕事をきちんとこなすだけ。と割り切れば、仕事以外の時間が驚くほど豊かな時間に変わると思ったりするけどね。「仕事を(今以上に)頑張る」なんてことを目的にしちゃうと、仕事以外の時間が削られていって、豊かな人生が遠のくんじゃねえの? って思うわけよ。

 そういうことを思いながらライフハックなんてものを見つめてると、俺は実はダメ人間じゃなくてデキる人間なんじゃないかと思えてくる不思議!