道ログ2

群馬県在住のおじさんがブログを書く

田舎者新宿へ行く

 先日諸事情により新宿に行ってきた。人に会うためだ。
 13時に新宿の指定の場所に行く必要があり、大切な用事でもあり前日から緊張していた。

 新宿ってあまり縁がなくて、東武伊勢崎線あたりで行く北千住や浅草、JRで上っていく上野や東京ならまだわかるんだが。

 よりにもよって群馬人が新宿へ行く羽目になったのだ。
 で、「北千住まで行って地下鉄乗って山手線で新宿?」とか「JRで上野に出て山手線で新宿?」とかおぼろげに考えていたのだが、ネットで調べたら色々な行き方があるようで驚いた。金額的にも便が多い的にもいいな、と思ったのが

 「東武伊勢崎線で久喜に出て、JRで新宿へ行く。」ルートだった。埼京線とかあるらしい。なんだ埼京線て。
 あと、そういえばそうだと知らされたのが「湘南新宿ライン。」これはなんと高崎から小田原まで直通しちゃう素晴らしい路線なのだ。しかも快速なので運賃以外には料金がかからない。ただずっとJRだと高い。
 さて。と頭を悩ませてはたとひらめいた。そうだ。深谷だ。

 深谷の駅近くに親戚の家があるのでよく出かけている。深谷まで行ってJRだ。熊谷まで行ってもいいのだが、熊谷駅前は駐車場が高い。
 というわけで行ってきました。

 8時半に家を出て、10時前のJRのその湘南新宿ラインを捕まえて乗りました。
 ただどうやら前の晩食べた「カレー餅」がかなり胃にきているらしく、気持ちが悪かった。

 で、JRに乗って「あ。」と思った。
 携帯用のポータブル充電器家に忘れた。と。そんでもってさらに「ああ。」と思った。
 携帯用のイヤホン車の中に忘れた。と。本も持ってこなかったし、携帯しか時間つぶしがない。しかも充電が残り2.
 仕方なくmixiでボイスをつぶやきながらの旅となった。(ツイッター上に知り合いがいないのでつまらない)

 すると車内アナウンスで「新宿着10:59」とか聞こえてきた。
 「ええ。11時。早い。地図では新宿駅から徒歩10分くらいのことが書いてあるのに。得意の迷子になったとしても時間ありすぎ。」と思った。
 だが思い違っていて、髪の毛がもさもさでもちろん年末も年始もずっと仕事で切ってる時間もなく、仕方なく深谷か新宿で切ればいいやと前の晩計画したのだった。それを思い出して安心した。ということは初めての新宿でいきなり床屋に入らなければならない。あるんかな。東京だからむしろ駅の中とかにあるだろ。だいじょぶだろ。と思う。
 途中から座ることができて、人がだんだん増えてきて、新宿に着いた。

 南口を目指すが、どっちが南だとかわからないので、心細く案内板を頼りに歩く。どうして都会の人ってああやってすいすい歩いていけるんだろう。関心する。回りを見回してみても上を見て看板を探しながら歩いている人などいない。ちくしょう。カメラ首からぶら下げて歩いていればやさしい人が「どこへ行きたいの?」とか声かけてくれたかもしんねえ。子供か俺は。

 で、テレビできいたことがある「ルミネ」とか見て「すげー。これがあの。」と言いながら、外に出る。床屋はなかった。
 道が広い。地図は持っているがすでに俺には自分が地図のどこにいて目指したいものがどちらの方角なのかわからない。そもそも方向音痴の人間が「あっちの方」と言った場合の範囲は角度にして大体90度くらいの余裕を持って言う。不安な場合は180度くらいのゆとりを持って「あっちの方」と言う。なのではじめに決断した方角が違っていると、進めば進むほど目的地から離れていくのだ。しかも癖が悪いのはけっこー根拠のない自信を持っていて、「もしこれが違ったとしても右の方へ修正すれば結果的にはたどり着くはずだ」とか考えている。もうその時点でだめなのだが。
 大体「右」ってなんだよ。自分の体の向き一つで常に流動するような目的の方向って有り得ないだろう。そういう感覚で物事を進めるから「方向音痴」が直らないのである。

 で、俺は11時の新宿駅南口に降り立ち、床屋を探さなければならなくなった。
 当然のことながらそこに知っている人などいない。仕方なく宝くじ売り場のおばちゃんに「すみませんこのへんで髪切るとことかありますか。」と聞く。ビジネス街なんだからコンビニ並みの感覚で並んでいるかもしれないと思った俺が馬鹿だった。軽く分からないと答えられ、歩き始める。
 結果的にもうこのはじめに渡った横断歩道からして間違えていたことになった。

 で、行くと青と赤の床屋のぐるぐるが意外にもすぐに見つかった。小さなビルの一階の小さな理容店は1000円カット。こわい。
 次を探すと意外にもおしゃれなサロンがすぐにあった。青と赤も回っていて4200円と書かれていた。ここでいいやとおもった。見るとそのサロンは6300円で、地下の理容室が4200円だそうだ。
 俺がいつも行く男の子が一人でやってるお店も4200円なのでいいや。と思っておそるおそるドアを開ける。
 だって人けがなくて怖かったんだもん。

 すると5人くらいの従業員が笑顔もなく迎えてくれた。
 「あの。。。だいじょぶですか。。。」
 なかば無理やり引きずり込まれ、上着を脱がされ、かばんを預けさせられた。
 大学時代大阪でヘルスの呼び込みを断れなかった自分を思い出してちょっと後悔した。現金をそんなに俺は持っていないので、大切な用事の前に顔に傷ができるといやだとか、そもそもちゃんと俺は無事ここから出られるのかという不安に襲われた。
 つーか今思えば予約もしないで飛び込むってどんな感覚だろう。普段は予約の店に行っているというのに。何かが俺の中で狂ってたんだろうな。とにかく俺は飛び込んだ店でまな板の鯉状態だった。

 だって群馬の理容室でこんなにスタッフがいるとこなんてないんだもん。あったとしたらもっとお客さんいっぱいいるもん。
 結果的にはかわるがわる何人かのスタッフさんが俺のことをもんでくれたりアロマオイルを塗ってくれたりシャンプーしてくれたり髪を切ってくれたり背中に湯たんぽを入れてくれたりして、なんかいい感じだった。店内のBGMがほぼ無音で静か過ぎていやだったけど。髪を切ってくれた人がつい最近パパになったってことで子供の話で盛り上がってみたりもした。

 大事な用、がんばってくださいね。と送り出してくれてありがとう。
 そして俺はここでもミスを犯す。目的地の場所をお店の人に聞けばよかったんだが、なんだかそのまま出てしまった。そして自分の思う方向に進み始めた。約束まではまだ30分以上あったので余裕があった。
 歩いていて踏み切りを渡った。しばらくして気がついた。

 「あれ。。。地図で踏切なんてなかったよ?」と。そしてその辺にあるべきビルが今目の前のどこにもないことにも気づいた。
 ああ。ダメだとおもいつつ、携帯を取り出す。
 ナビウォークを起動し、24時間コースに会員登録し目的地検索。
 目的地はすぐでてきた。だが、新宿だというのに電波が悪い。ふざけんなよ東京。

 気がつくとコースを外れている。ナビウォークと二人で迷子になりながら、約束の時間まで15分と迫っていた。
 そこでもまだわからなかった。残り10分。まだ確信が持てない。
 またナビウォークにだまされる。泣きそうになりながら歩く。
 大通りに出た。ついに地図に書いてあるものを見つけた。わかった!すぐそこだ!
 しかしそこは大通りだった。片側何車線あるかわからないほど群馬人には理解できない大通りだった。道の向こうへ渡らなければならないのだが、横断歩道も歩道橋もない。おそるべし新宿。
 
 俺の人生おわったかと思ったのだが、あわてていただけで目の前に信号があって横断歩道があった。約束まで6分。長い。赤が長い。
 ドラマじゃないんだから赤信号渡れない。青になって走る。目の前が開けた。あった! 目的地発見!
 ビルに入りトイレで鏡を見るとさっきセットしてもらった髪がわさわさだった。軽く直して外に出る。
 約束の時間になり、電話をかけ、指示通りの場所にたどりついて、俺はその人に会うことができた。

 緊張していたが、一時間弱の短い時は無事に過ぎた。

 別れ際にも「そこのマクドナルドのところから地下道に入ると駅までまっすぐ行けますよ。」と教えていただけたのだが、ビルから出た俺にはそのマクドナルドが見つからなかった。
 仕方なく大通りを歩いていたらなんとなく駅っぽい何かが遠くに見えてきて、24時間営業のそば270円の見せに驚いたりしながらさらに歩いていたら、朝降り立った宝くじ売り場にたどり着いてびっくりした。

 「もうすぐ駅だ!」と思っていたのだが俺はとっくに駅についていたらしい。
 方向音痴にはよくある話で、この感覚は方向感覚の優れた人にはどう説明しても理解してもらえないどころか「意味がわかんない」とあきれられてしまうだけなのだ。

 帰りも湘南新宿ラインに乗ることができ、乗り換えなく深谷まで帰ることができた。
 家に帰って嫁さんと色々と話しをした。うまくいくといいのに。

 髪を切ることは嫁さんに言ってなくて(そもそも自分も忘れていた)「髪切ったの?」と聞かれ。「うん」と答えると
 「1000円カット?」
 「いや。。。4200円」
 「それで???」
 「うん。やっぱそう思うか。」と。
 いつも行くところの男の子はほんとに俺の髪を知り尽くしてくれてるからなあ。それにしてもこの髪だと「新宿で切った」とは言えないなあ。。。