道ログ2

群馬県在住のおじさんがブログを書く

インターネット殺人事件?

タイトルが思いつかない。今更になって書くのか俺は。書かなくてもいいのにね。

 

ワールドカップサッカーの予選リーグの日だったはずだ。確か第二戦で、セネガルと引き分けた日のことじゃなかったかな。

その日俺は早く休んでいた。翌日、出張で関西まで運転していかなければならないし、一日前から風邪をひいていて身体がしんどかったからだ。

 

早く寝たもんだから夜中に目覚めてしまって、ケータイを眺めた。

どうやらサッカーは引き分けたらしい。すごいじゃないかと思った。

そして、タイムラインに

 

hagexさん以外考えられない。 - はてこはときどき外に出る

 

こんな記事が出てきた。リツイートは、やまもといちろうさんだったと思う。

はてこさんは、つい先日デリヘル呼んだブログを読んだばかりだったので、何事かと思った。どうにもこうにも、hagexさんになにかあったらしい。

 

もちろん、俺はhagexさんとはなんの関わりもない。面識ももちろんない。webで言葉を交わしたこともまったくない。

「有名なゲスいブロガー」hagex、という認識しかなかった。

 

でも俺はhagexさんのこと好きで、とにかくブレないしマメだし突っ込んだら倍返しじゃきかないし、キャラの設定もなんかゆるゆるだし、とにかく古き良きはてなユーザーって感じで、好意的にいつも見ていた。

 

続々と情報が入ってきた。

どうやら、はてこさんの言う通り、hagexさんが何者かに刺され、そして亡くなった。

とても不思議な感覚だった。

 

hagexさんてもっと若いのかと思ってた。若い割にしっかりしてると思っていた。仕事してるどころかちゃんとしたサラリーマンじゃねえかよと思った。

年齢が俺に近いじゃねえかと思った。

やまもといちろう氏やフミコフミオ氏と、これから仕事をしようと思っていたのかよと思った。

 

最初に気がついたのは、やまもといちろう氏からのリツイート。はてこさんのブログだ。それは「どうやら、おそらく、間違いなく、hagexさんが事件に巻き込まれた」というものだった。

そのときにはすでにマスコミによる報道もなされていた「被害者死亡」と書かれていた。

もちろんマスコミの報道にはhagexとか書かれていない。被害者氏名は報道されていた。そして、その報道を受けて、「年齢、氏名からhagex氏に間違いない」とwebで断定される。

hagex氏のブログはその日以来更新されていない。

 

犯人というか容疑者は、おそらくインターネット上でhagex氏に興味を持って、なんらかの動機で犯行に及んだものとされる。おそらくこいつだろうというのは特定されているし報道もされている。

特に個人としてブログを書いていたり、個人アカウントでSNSを利用していたりする者ではないのに、固有名詞で呼ばれるほどの、荒らしユーザーだ。

 

事件当日、hagex氏は福岡でのブログセミナーを主催していた。報道では「IT関連のセミナー講師」とか呼ばれていて格好いいなと思った。そうかイケダハヤト氏やはあちゅう氏が報道されるときもきっとこうやって呼ばれるのだろうかとか思った。

ブログセミナーに登壇しただけなのに(失礼)IT関連のセミナー講師とは。随分な肩書だなあと思った。

もちろん、hagex氏は(その後明らかになる彼の経歴などから)、そう呼ばれるにふさわしいと思うが、第一報当時で「それは言い過ぎやろう」と思った。

 

また、先日のアメフト反則事件以来、日大が炎上しているが、hagexさんはブログで、日大理事長の黒い噂を取り上げていた。その矢先、そして福岡での事件ということで、当初は容疑者についていくつかの憶測も飛び交った。

今でも、単なる単独犯なのか、という疑問は晴れない。

 

この日以来、インターネットの空気が少し違う。

なんというか、元気がない。ノリが悪い。いやそれは俺の側の問題なのだろうけど。

かつて隆盛を誇っていたブログの、中でもはてなダイアリーのブロガー達が、一様に筆が重いように思える。

なんていうか、こう、一つの時代の終わりを、受け入れざるを得ない長老たち、みたいな雰囲気がしているようで、俺としては辛い。

 

しかし、事件翌日、福岡在住の友人に「昨晩殺人事件あったろ」と聞いてみても「そうなん?」と言われてしまうし、妻に「昨日の博多の殺人事件さ、ネットの有名な人が刺されたらしい」と言ってみても「ふうん」で終わってしまうし。

職場でも、サッカーのことは話題になっても遠い九州の、しかも夜の繁華街で発生した殺人事件など、話題にすらのぼらない。

 

ネットの中を見てみても、はてな界隈とそれ以外での、この事件にたいする熱量が、100と0くらい違うような気がする。

ぶっちゃけ、はてなを一歩出てしまうと、「hagex?誰?」状態のように思う。

現実の世界の人たちに「はてな」と言ってインターネットサービスを連想する人は、非常に少ないと思う。

 

そういうものなんだな、と思った。

その日以来、界隈では色々なエントリが立ち上がり、改めてhagexさんの影響力を見せつけられているし、はてなの独特の空気を浴びせられているが、俺はそこまでのブロガーではないし、そんなにコアにはてなを利用してきていなくてよくわかっていない。

 

ただ、一人のブロガーが亡くなった。尊敬する、好きなブログだった。その、ブログの更新が止まった。それだけは、事実である。