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群馬県在住のおじさんがブログを書く

ホテルマンが低賃金の非正規のとき、夢の国のキャスト様たちはどうしているのか

帝国ホテルのホテルマンが普通に時給1000円くらいのバイトだった - Togetterまとめ

 

 ホテルマンによる個人情報流出がまた話題になったらしい。詳しくは見てない。

 その案件を聞いて思い出したのはもう数年前だが、ホテル内のレストランのアルバイト学生が、サッカー選手と女優が来たと、よりによって不倫現場をばらした事件だ。

 あの女子は「女子力」という言葉を女子力とは無縁の世界に一般かした功績は大きいし、女子力が高い女子=なんかいけすかない、というイメージを固定化したと思う。

 引き続いてスポーツ用品店のアルバイトが来店したプロ選手をディスるツイートをして炎上したりした、そういう時期のお話だ。

 今回炎上したのはホテルマンのやらかしそのものではなくて、そのスタッフが正規雇用ではないらしいということ、さらに時給1000円で働かされていたということが原因ぽい。

 

 日本のサービス業は、というと主語が大きいけれど、サービスの現場をいくつか見てみると、本当に待遇が悪い。がんばってもがんばってもスタッフは報われない。

 給料が安いのはもちろんなんだけど、安い上に仕事が多い。

 それだけでなく、仕事がどんどん増えるのだ。給料は上がらない、客は減らない、仕事は増える。その状況で、どうやって「お客様を満足させる」とか「感動させる」サービスを提供できるのだろうか。ということだ。

 現場のスタッフの多くは「とりあえず最低限のサービスを」という感覚でいる人が多いと感じる。これはもう、経営者の問題だと思う。

 経営者は、サービスの人間を「サービス好き」だと思って疑わない節がある。まずそれは、大きな間違いだ。サービスが好きじゃなくてもサービスの現場で働くスタッフはいる。半分くらいそう。また、サービス好き、接客好きな人が多いのももちろん事実なんだけど、それにしたって、趣味としての好きというのとはワケが違うのですよ。

「あいつら接客好きだからいつでもどこでも笑顔で大きな声でいらっしゃいませありがとうございますって言えるだろう」みたいなの、やめてもらえませんかね。

「プロなんだからどんだけ忙しくてもちゃんと用件聞いて的確に案内してミスなく手続きをできるだろうしかも短時間で」みたいなの、無理なんですよ。

 

 何度も何度も何度も何度も言ってますけどね、よいサービスを提供するには時間がかかるし技術も要るんですよ。つまり頭数が必要なんですよ。そこの人件費や教育をケチってたら「質の高いサービス」なんて無理なんす。絶対無理なんですよ。

 でもやってるとこあるじゃん、って、それは、給料以上の働きをしてるからなんとかできてるだけなんです。オペレーションどおりにまわしてたら絶対回らないような状況を、経験とテクニックと気合と根性でなんとか乗り切ってるだけなんですよ。

 

 それで、そういう現場なわけですから、実はサービスマンのスキルっておそろしく高い。個々の能力って化け物なみに高いのがゴロゴロ存在している、それがサービス現場です。

 だがしかし、サービスマンがいくら能力を上げても、技術を磨いても、経営者はそれを買ってくれないんです。笑顔やサービストークの技術はほんとにモノを売りますよ。でも会社はそれで給料を上げてくれることはありません。食べ物を作るにしても客席を的確にマネージメントするにしても、技術が高い人はほんとうに上手にまわしてお客に不満を抱かせない。でもそれで休みが増えることはない。

 そういう現状なんですよね。舐められてるんです。サービスマンは。

 だから、今回のようなことが起きるんです。自分の仕事に誇りがもてないんですよ。

 

 さて、それでは日本のサービス業の最高峰、オリエンタルランドによるディズニーランドではどのような雇用形態にあるのか見てみましょう。

 日本中のサービスマンの憧れの的、全サービス業のお手本のような夢の国。

 ちゃんと専用の求人サイトを作っています。日本中からディズニーで働きたいという若者が応募していることでしょう。

 「あなたにも使える魔法がある」

 いいコピーだ。

 

www.castingline.net

 

 そろいもそろって時給1000円です。

 思うんですけどね、ディズニーってほんとによく、サービス業では教科書になるんですよ。でもこれ、経営者にとって都合がいい形態であって、スタッフにとってはマルチ商法みたいに、うまいこと言って給料以上に働かされるだけのモデルなんじゃないかと思うんですよ。

 

 というわけで、サービスマンはあまり自分の能力を安売りするのはやめようよ、と思います。