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道ログ2

群馬県在住のおじさんがブログを書く

後回し癖のある君へ

  後回し癖は一生治らない、のか?

 学生さんらしいので、先輩として書いておきます。

 俺も夏休みの宿題は最終日にやったり、定期テストの勉強は一夜漬けだったり、受験勉強もほとんどやらなかったり、卒論も先生に相談に行くことすらできなくなってぎりぎりになって図書館にこもってやったりしていた。
 
 そのまま大人になってる。
 学生時代、サークルのイベントとかで大きな行事のスタッフやったりしても、資料はいつもギリギリ。頭のなかでは考えていたりするんだけど、形に仕上げるのはギリギリ。
 先輩に相談したりしていればものすごく早く、楽に作業が進められただろうし、完成度もかなり高いものができたと思うし、なによりそれによって周りからの評価も高くなっていたと思う。
 でもそういうのができない。「まだいいや」と思ってしまう。なかなか手がつけられない。
 
 やればできるのは分かっているし、やり始めれば割とスムーズにできてしまうのもわかっている。でもできない。やり始めない。やらないと後で苦しくなることも分かっているのにできない。やらない。
 結果どうなるか。

 ギリギリに仕上げて、そこそこのものが仕上がって、特に問題にならない。なにもなかったかのようにイベントが終了する。しかも、「こいつは結構できる」みたいな評価になる。
 いやできないから。ほんとに出来る人は早くからとりかかって計画的に仕上げて、問題点を洗ったりしてる人。そして辛いのは、その、ほんとに出来る人から見ると、自分がどれだけ手を抜いているかというのがバレバレで、本当に欲しいその人からの評価は得られない。

 そういう人。俺。

 で、そのまま大人になって社会人になってみた。
 相変わらず書類はギリギリにならないと提出しないし、とりかかりもしなかった。

 そんな俺だったけど、少し早く仕上げるようになった。
 それは、上司がヒステリックな人で、締め切り前にも関わらず「できた? まだできないの? 今日何曜日だと思ってんの? ほんとにあなたは(ry」とキンキンと電話をかけてくる人だったし、そのくせ自分は仕事をしないのでいつもどこにいるかわからず、締め切りになって提出しようとすると捕まらずに、結局締め切りを過ぎて提出することになってしまって「今日何日でしたっけ? これはいつまでに提出をお願いしていましたっけ?」などと電話口でキンキンと喋りだしたりされたからだ。

 それが嫌だったから、なるべく早めに仕上げて提出するようにした。
 内容が良くなったとは思えない。ただ、その使えない上司が間に入っていたために、作成した資料が上司の上司からダメ出しがあった際に、俺のところに降りてくる時点ではどこがどうダメだったのかがまるでわからず、何を指摘されていて何を修正すればいいのかさっぱり理解できないということが常で、であれば「バカでも分かる資料」を作ろうと思ってとりかかったところ、俺の資料はわかりやすいと社内でも評判になったことがある。

 そうした経験を経て、なるべく早く仕上げようという気持ちは、30を超えてから強くなった。
 
 もう一つ、嫁さんの影響も大きい。
 彼女は、言われたことはすぐやる女性だ。
 典型的な性格として、待ち合わせ時間の5分前には支度を完了して玄関で待っていることができないと機嫌が悪くなる、そんな女性だ。
 彼女は字がうまい。毛筆もだ。
 俺は字が下手なので、字を書く仕事があるとお願いすることがある。すると彼女は言われたらそのままとりかかって、ものの数分で仕上げてしまう。
 大きな模造紙に大きな文字を書いてほしいとお願いした時も、あっという間に仕上げてしまった。
 俺なら「いつまでにやればいいの?」と聞いて、それから「じゃあその3日前ぐらいには仕上げよう」と決意して、結局できあげるのは当日だろう、と思う。しかし彼女は言われたその日に出来上がるのだ。

 俺は心からすごいと思った。今でもいつもそう思う。
 そして思った。

「俺にはこうはなれない」と。

 俺にはできないのだ。計画的に物事を運ぶことはできないのだ。
 現に今も、6月に提出するわりと面倒くさい仕事をかかえていて、手帳にも今週の欄に「提出書類」と大きく書いて丸で囲ってある。にも関わらず、木曜日になった今も何も手を付けていない。もちろんその手帳にはこうなることを見越して来週の欄にも同じように「提出書類」と大きく書いてある。

 自分は確かにその点では非常に劣っていると思うのだが、それと同時に、自分が優れている点もあるのだ。
 だから俺は、ギリギリにならないと仕上げられないという自分の能力を向上させることが困難であると判断し、それ以外の能力を伸ばしていこうと思った。
 それは、自分以外の人を使うことだ。
 たとえばだ。俺は企画したり考えたりすることが苦手じゃないし、人前に出ることが嫌いではないから、会議などで積極的に発言するようにした。往々にして会議などで発言すると「言い出しっぺの法則」が発動して、「じゃあお前がやれ」となるのだが、そうなればその企画そのものが悲劇になることが明らかだ。その時に俺がやることがある。
 事前準備などの細かい作業を、そういうのが得意な人に振ってお願いしてしまうのだ。「企画書やタイムスケジュールは作りますから、名簿作成や発送作業、資料の作成などは誰々さんと誰々さん、お願いできますか?」と。
 俺が後回し癖があり人前が苦じゃないのとは逆に、奥さんのようにすぐやる派であって人前が嫌い、という人もいるのだ。
 そういう人に、作業的なことをお願いするのだ。これをこうして、こういうのを作ってもらえればいいんですけど、とお願いすると、その人達は早速とりかかってくれて、三日後にはすべて仕上がっているだろう。
「面倒な作業をおしつけて申し訳ないな」と思うかもしれない。しかしその人達からすると「簡単な作業だけやればいいんだから楽だわ」と感じるのだ。

 また、俺はスケジュール調整が苦手だ。会議や飲み会などの日程を決めるというアレだ。
 これも宿題や仕事と同じように後回しにしてしまって、ギリギリどころか結局決まらなくて会議が開くことすらできないという状況にいつもなる。
 そんな時も、自分以外の誰かを使うのだ。そういうのが苦じゃない人もいるのだ。けっこう多くいるのだ。若い女性などに特に多いと感じている。その子たちにお願いするのが一番いい。そのためには、言い出しっぺにならないといけない。
「あの会議いつにしましょうか」「飲み会を開催しなければならないんだけどいつがいいかなあ」
 そう切り出して相談しながら、大体の日取りが見えてきた際に、
「じゃあ、そのへんでみんなに聞いてみてくれるかな。それで決めよう」
 と、方向性を見だしてあげれば、その人は間もなく日程を決めてくれることだろう。
 俺はそんな風にして、事態が悪い方に向いていくのを避けながら生きている。


 前置きが長くなった。ここから君へのメッセージという本題に入ろうと思う。

 まず君に言いたい。
 安心しろ。君はできる子だ。ギリギリだろうがなんだろうが、仕上げることができている。単位も取れてるしバイトもできているし、内定までもらえている。ちゃんとできている。その事実を認めよう。
 ただ少しやり始めるのが遅かったり、計画的にきちんと仕上げることができなかったりするだけだ。逆を言えばそれでも人並みに仕上げることができるのだから、能力が高いと言っていい。

 その上で。この先はいずれできるようになるだろうから、今は参考程度に聞いてもらえたらいいと思う。

 社会に出て仕事をすると、自分一人でできることは、まずない。君がやる仕事は誰かの仕事を受けてのものだし、君の仕事を受けて誰かがまた仕事をするのだ。仕事をしていく内にそういうことが分かるようになるだろう。
 特に、後輩や部下を持つようになると、その人達にどう仕事をしてもらうかを考えなければならない。君が仕事を振って指示してその人達は初めて仕事をし始めるのだ。
 当然、君はその後輩や部下の仕事が上がってきたものをまとめて上に上げていかなければならない。そうするとだ。
 その後輩たちに「いつまでに」仕上げなさいという指示を、毎回毎回確実に出さなければならなくなる。そういう指示を出せないと、その人達は仕事がしにくいという理由で君のことを信頼してくれないからだ。
 その時君は気づく。
 期限に余裕を持って仕事をしてくれれば。構想段階で一言相談してくれれば大幅な手直しにはならないのに。と。
 期限ギリギリに提出されてきた、方向性がまるで違うものを見ながら「なぜだ」と小さくつぶやいた君は「少しでも余裕を持って物事を進めなければならないのだ」「責任を分散させるために早い段階で周りに相談しなければならないのだ」と強く心に刻むだろう。

 その頃、君の後回しグセはほんの少し改善し始める。
 それからは、決して仕事が早いとは言えないかもしれないが、早めに相談し、期限にはきちんとしたものをしっかり仕上げることができる人間になっていることだろう。

 どうか焦らず、慌てず、仕事をしていってほしい。
 君はおそらく視野が広いはずだから、周りの人の仕事の様子、特に上司が自分以外の人にどのように指示を出しているのかまで見てみるといいと思う。その視野の広さが、将来強い武器になると思われる。

 大丈夫。君ならできるよ。