道ログ2

群馬県在住のおじさんがブログを書く

欲しかったのは寄付じゃない。理解だ

 学校も二学期が落ち着きまして今日は涼しい雨です。お元気ですか。
 
 アイスバケツチャレンジってのが少し前から話題になってまして、興味もなかったんですが、日本ではそろそろ話題も収束していきそうだなと思っています。
 ALSという難病の支援を目的としてはじまったとされるこのチャレンジ。なぜか患者さんや患者団体をさしおいて是非が問われ、時には批判されることもありましたが、日本ALS協会がコメントを発表したようです

  アイス・バケツ・チャレンジ、日本ALS協会に4日間で寄付金200万円 氷水は「くれぐれも無理をしないで」

 これ、俺は興味なくて。炎上商法だな〜って思って見てただけです。だからあまり言うことがないんですが、一つ思っていたことは、なぜ日本でも氷水なのだろう、ということです。
 日本なら熱湯風呂か、熱々おでんじゃないかと。
 熱湯コマーシャルに挑戦して、秒数✕一万円とかを寄付するってことにする。ただしこれは準備が容易ではない。
 または、熱々おでんを食べて支援する。

 リアクション芸を求められているなら、王道であるこうした文化を、なぜ日本の著名人たちは世界へ向けて発信しないのかと問いたい。ああ問いたい。
 ただまあ、これのやっかいなところは指名制だということはあるでしょうね。著名人有名人で行き来している間はいいでしょうけど、それを一歩外れるとたちまち判断が難しくなる。
 ALS協会への寄付を募るってことだと、協会公認の指名でなければ認められない、みたいなことが今後は必要になっちゃうかもしれない。ってのがひとつ。
 もひとつやっかいなのは、日本人のネットへの意識からすると、広がりを見せるというよりは衰えていく一方じゃなかろうかということです。SNSに対しての理解とかを見ても、どうもこういうのは無理っぽい。
 有名人からして下手ですからねえ。SNSとかの使い方。

 で、ですね。日本でどうなろうがそれはいいんですよ。ここんとこ、そういう、何かに対してのメッセージをネットを通じて著名人が直接行動に移すっての流行ってたじゃないですか。サッカーの差別問題とかもそうだと思うんですけど。
 
 これ、考えて見てたら、最初の方に始めた人たちはなにを考えてたのかなーって。
 結構な初期にフェイスブックの人とかビル・ゲイツとかオバマ大統領とかの名前が登場してるっぽい。
 寄付金が目的ならその人達がポン、と出す金額のほうが、今までの寄付金よりも桁がいくつか多いだろうから、彼らは寄付を呼びかけるためにこの運動に参加したのではないんだろうな、ということ。

 ということは、やっぱりこの運動は寄付金を目的としていなくて、運動の広がりと共に、この難病の認知と支援を目的としているんだろうな、と思う。
 患者への理解。家族への理解。そして、医療界や政治へのはたらきかけ。そうしたことを目的としているがために、話題を大きくし、賑やかし、大きな運動にする必要があったんだろうと思う。

 氷水はあくまで手段であって、それによる批判が高まるようであれば、氷水をかぶるということなどいくらでもやめればいい。冬になったらアツアツおでんにしましょうと言えばいいだけなのだ。
 または、むしろもっと大々的にして、テレビ番組とかにすりゃいい。
 昔良く「成功したら100万円」なんていうチャレンジ番組があったけど、「失敗したら寄付する」っていう番組を作って、ノーギャラで有名人を呼んできてやらせればいい。
 けん玉とか、ゲームとかでもいいよ。太鼓の達人とかでも。
 寄付をする先の団体をいくつか用意しておいて、チャレンジに失敗したら寄付みたいなの。

 まあ、こういうのは本来利害関係のないところでやりとりされるべきで、そういう意味でテレビではできないし、だからこそネット、SNSを通じて広がっていったことは正解だと思うんですけど、いまやネットこそが最大のマーケティングの場所であるということも無視できないわけですよ。

 んでもって残念なのは、こういうのが広がって、例えばALSについては少なくとも日本ではこれで収束に向かうでしょうが、二番煎じができないということですね。
 せっかく広がった輪を使って、他の病気や問題に対して、支援の輪を広げたいと思った時に、もうアイスバケツじゃだめだということです。
 「またか」という反応と、「それこないだ批判されたじゃん」とかってことになっちゃう。
 「お。今度はこの問題か。それなら俺は支援しよう」となればいいだけなのに、そうならない。周りの反応を伺ってから自分のスタンスを決めるという人が、俺が思う以上にネット上には多いじゃないかと思うんですよ。俺ももちろんなんですけどね。

 そういうわけで、今回のアイスバケツチャレンジは、批判する人がいくら批判しようとも、大成功だったと言っていいと思います。
 病気そのものの理解が進んでいないじゃないかとか、患者やその家族が置き去りだというような批判もありますが、現実にそうであったとしても、理解はそれまでより深まったわけだし、支援も実際に広がった。なによりこうして、それまでの何倍も、メディアにALSの文字が載り、それはしっかり残るということです。

 その意味で、成功です。