道ログ2

群馬県在住のおじさんがブログを書く

餃子の王将のキムチチャーハンについて教えてくれ

 あれは俺が学生時代だったからもう15年くらい昔の話だ。
 大学の寮に入っていた俺は、正月実家に帰省せずに遊び歩いていた。だが、年末年始ともなれば寮の飯は出ないし、風呂も沸かないしってんで非常に不便な暮らしを強いられていた。
 やってる店といえば近くのローソンくらい。
 ビールを飲んでビデオを見て寝て飯食っての繰り返しで、正月帰省から寮に戻ってきたやつに出会ったのが正月4日。

 久々に知ってるやつの顔を見て泣きそうになった。で、こう言った

 「飯食いに行こうぜ。」

 俺は免許も持ってなかったしもちろん車もなかったからだ。国道沿いの大きな餃子の王将に連れてってもらった。
 久々に暖かい飯を食えるとメニューを悩んでいると壁に

 「キムチチャーハン」と書いてあった。

 俺はものすごく魅力を感じてそのキムチチャーハンを頼んだ。多分意識が正常ではなかったのかもしれない。
 しばらくすると運ばれてきたのはいかにもっていうくらい真っ赤なチャーハンだった。

 俺は辛いものは好きなので「うひょう!」と言いながら大きな口でキムチチャーハンをほおばった。

 「げふん!」

 なにかが違った。さっきまでものすごいハイテンションだったのだが、ものすごい「?」「?」「?」が頭の周りを回った。漫画みたいに思えた。
 気を取り直してもう一口食べてみた。今度はおそるおそる。

 やっぱり違う。白菜キムチは具として入っているが、どこか懐かしい味だった。違和感があるんだが、やたらと入り込みやすい。そして何かが足りない気がした。
 思い出してみた。これは・・・ これは・・・

 「ケチャップだ! ケチャップご飯だ!」

 俺はこう、なんていうか目の前で飯を食っている友達になんかこう、部室で着替えてる女子の姿が見えちゃったよ的にこっそりとしかし激しく呼びかけ、
 「これ、あれ、キムチちゃう。これちゃう。ちゃうで! いいから食って。食ってみて。」

 友達はすごく辛いものなのかなんなのかといぶかしがったが、あまりしつこいのでおそるおそる口に入れてくれた。そして

 「げふん!」

 と言った。「これは・・・?」

 「けちゃっぷだよなあ。」
 「ケチャップ、やな。卵が乗ってたらオムライスやな。でも、キムチもはいっとるな。」

 ああ。そうか。俺が足りないと思ったのは卵だ。そうだそうだ。オムライスにしては卵が足りないんだ。

 って、ちがう。これは「キムチチャーハン」なんだ。
 でもちゃんとキムチ入ってる。間違ってない。
 俺たちは店員に「これ、ほんとにキムチチャーハンですか?」と聞けずに、何日かぶりの俺の食事は後味の悪いものになり、金もないのにチャーハンを半分残して帰ってきた。

 今でも気になっている。奈良県の国道沿いの餃子の王将で、ケチャップ味のキムチチャーハンはメニューとしてあったのだろうか。それとも間違えたのだろうか。ドッキリだったのだろうか。
 今となっては確かめるすべがない。
 誰か知っていたら教えてください。まじで。