道ログ2

群馬県在住のおじさんがブログを書く

クラス会って楽しい。

先日、高校時代のクラス会に出向いた。
卒業してはや17、8年経ったおっさんたちが小さな店に集まった。
当時の3年B組は46人ぐらいいたと思ったけど、18人来た。結構集まったほうじゃないかな。
担任も来てた。俺たちが卒業してまもなく定年退職した、元体育教師だ。

結論から言うと、すげえ楽しかった。すげえおもしろかった。うれしかったし、はじけて呑みすぎて最後覚えてないくらいだった。

卒業してから初めて会う人が圧倒的多数だった。いや。今回のメンバーは全員卒業以来初じゃないかな。
きっとこのエントリもうまく書けないだろうだろうけど、まあいいか。頑張れ俺。

会場へ

当日、祝日ながらも仕事に出てた。一日休む予定を組んでいたものの、連休だし先月ベテランが一人退職してたりするので、夕方まで仕事に出ることにした。でも最近はけっこー暇で、朝から夕方まで職場でまったり気味に過ごしていた。クラス会のことを考えながら、mixiでつぶやいてみたりしてた。
どんな顔して行けばいいんだ。すかした感じは格好悪いだろう、とか。なんて呼べばいいんだ、とか、そもそも何着ていけばいいんだ。とか、果ては

「何年かぶりに会った男子のガッカリするところはどんなところだろう。」なんて考えてみたりした。もちろん答えは出なかった。
4時くらいに退社した。ここんとこまったく子供たちと遊んでないので、長男を連れて買い物に出かけた。お土産を買いに、だ。誰にって、なんかわかんないけどそういう場に手ぶらで出かけていいもんかどうなんかわかんなくて、でもみんなに差し入れってのもおかしな話しだし、ってことで、幹事に差し入れだけ持っていくことにした。
同級生の男子にお土産ってなんだよ、と思いつつ、当たり障りのないワインを一本買った。ラッピングはお断りした。
で、悩んだ挙句、着替えないでいくことにした。スーツのままで、だ。大きな要因として、着ていくような私服を持っていないことがあったんだけど。
子供たちとテキトーに遊んで時間を過ごし、時間を待っで家を出た。
その日は行きは送ってくれるかと思った嫁が、俺が帰ったときにはすでに一杯呑んでいたので自分の車ででかけることになった。

 緊張していたし、場所もよくわかっていなかったんだけど、なんていうか、ウキウキしてた。

到着

 何ヶ月か前実家に送られてきた手紙が事の発端だった。高校時代の同級生の名前で、「クラス会やります。」と、簡単な文書が届いた。会場である店は、市内の商店街の地図のはずれに、その子の名前を冠したレストランだった。
 へえ。お店をやってるのか。すごいな。と思った。親戚の家の近くだけど、あまり行かない場所だし、聞いたこともない店だった。
 時間に少し遅れて地図に書かれている場所に着いたが、狭い道の入り組む街なので、わからなかった。電話をかけ、駐車場と場所を聞いて歩いた。
 通りに面した、暗い街の中にぽつり、と店があった。中に、たくさん人がいた。

 きい。と入り口の扉を開けると、目の前に見覚えのある老人がいた。右手には数人の男女。同級生だ。先生は、一目でわかった。
 「すみません。遅れて。」と、幹事である同級生に声をかけた。そこにたどり着くまでには何人かの同級生の隣を歩いたけど、顔もよく見えなかった。見られなかった。俺を見て「あ。○○だ。」とか「あー。わかる。っぽい」とささやく声が聞こえたけど、敢えて聞こえないふりをした。
 狭い店だった。20人もいていっぱいになっていた。厨房の前、店の奥に男子が固まっていた。そこへ座った。隣には先生がいた。
 目の前に女子が3人座っていた。なっちゃんがいた。

乾杯〜

 男子は割とすぐ誰だかわかった。名前がすぐに出てくる人と、出てこない奴といたけど。でも、本当にそういう名前だったか自信がなくて、ほかの誰かがそいつの名前を呼ぶまでは名前を呼ぶことは避けていた。だって、島本くんだったか島谷くんだったかうろ覚えだったり、川村くんなんだけど、当時は違う呼び方をしてたはずだけど、まこちゃんだったかまこっちゃんだったか忘れちゃったりしているからだ。
 でも、大体すぐわかって、今なにしてんのー。とか、結婚は? とか、あいつはどうしたとかこうしたとか、盛り上がった。思い出すために高校時代の話をたくさんした。1年生のときは何組で担任が誰で、とか、2年の時は違うクラスだったよね。とか、みんなが記憶をすり合わせていた。
 ほどなく乾杯となった。先生が一言話をして、乾杯した。
 店のオーナーであるスカちゃんと、もう一人違うお店でコックをやっている男子が作ってくれたおしゃれなおつまみがたくさん並んでいて、生ビールやワインやジュースはセルフサービスだった。紙皿、割り箸、プラスチックコップと、決して飾っていないんだけど、気取ってなくていい感じだった。一気に楽しくなった。
 しばらくそのまま男子と昔話と今誰がどこで何をしているなんていう話で盛り上がっていて、それにしても気になって気になって仕方なかったことを、聞いてみた。

 「ねえ! 流れぶった切りでごめん! 俺に教えてくれ。 あれらは、誰だい?」

 ちょっと離れたところにいた集団、6、7人だったかな。男女ともに、誰だかわかんなかった。
 男子のことは、すぐに判明した。けど、女子については、そこにいる全員がクビを傾げていた。そしてどこからともなく当時の名簿がでてきて、スカちゃんが「この子と、この子と、この子が来てるはずだよ。」と教えてくれたが、じゃあどれが誰で、なおかつ高校生当時の記憶と一致させることができなかった。
 そんなもんかもしれないな。って思った。まあいいや。と思いつつ、ビールを呑んだ。とにかくうまかった。

 なんか、いろんなことがどーでもよかった。
 実は行く前、当日の時間を待つ間とか、前日とか、色々と考えていて思いをはせていて、悩んでいたりもしたんだけど、それはつまり、まあ、女子がどう変わってるかとか、そういう興味ももちろんなんだけど、そういうことよりもむしろ、自分がちゃんと今の同世代の人たちの中にきちんと溶け込むことができるだろうかとか、コミュニケーションがちゃんととれるんだろうかとかそういうことが心配だった。
 ここのところ仕事もうまくいってないこともないけど悩みは尽きず、あんまりやる気も出なかったり不満もあったりなんだりというような、要はあまり前向きに生きていなくて、家でも別に普通な時間の過ごし方とかしかできなくて、あとはまあ、年齢的に実家やその周辺との将来的な懸案事項とかも切羽詰ってきたりしていて、あんまり楽しくない。
 そういう環境の中で、もしかしたら仕事の愚痴とか言っちゃうかな、とか、ぶっちゃけやさしくされたら泣いちゃうかもしれないな、とか思ってたんだけど、そんなもん、行ってみたらまったくなにも関係なく、というかむしろ、仕事上のいやなことなんかまったく思い出さず、どっちかって言うと仕事バリバリやってるよー。なんて言っちゃうくらいで、なんだかもう、楽しくて仕方なかった。

 アレはなんだろう、利害関係のない付き合いっていうものがああなんだろうか。
 現実に俺がどんな生き方をしてきたとかそういうことを知らない、でも同じ学び舎の友だというだけのつながりなんだけど、やっぱりそこまで深いんだろうか。それだけ、青春時代の大半を同じ部屋で過ごしたって言うのは貴重な関係なんだろうか。
 すっごい不思議な感覚だった。
 同じ学校の同じクラスだったって言うだけで、なんだか許されているような感じだった。
うまくは言えないんですけど、そうか。だからみんな同窓会とかやるんだな。って。

 俺にとって同窓会って初めての体験で、期待と不安入り混じったんだけど、さだまさしさんの昔のライブCDで同窓会の話をしていて、すげえおもしれえなって思って聞いてたことを思い出した。なんとなくやっぱりわかるような気がした

 

先生

 先生は、定年退職されてもう15年ほど経つことになるんだろう。乾杯の挨拶で、何年か前に奥様を亡くし、一人だということを知った。と同時に、幹事のスカちゃんや、仲良しの男の子たちが、今でも先生と呑んだり、こないだはゴルフに行ったりと遊んでいると聞いて、すげえ尊敬した。俺なんかがいくら偉そうなことを偉そうにのたまっても、この人たちの足元にも及ばないと思った。人は謙虚でなきゃいけないなあ。と思った。
 先生は、誰よりも早く酔っ払って、普通にスケベに女子に絡み、男子に突っ込まれていた。楽しそうだった。
 スカちゃんが頭をかきながら、この後が大変なんだよな。と苦笑いしていた。すげえかっこよく見えた。
 今度は俺も誘ってもらおうと思った。
 

幹事

 今回はスカちゃんや仲良しの数人の好意でこういう会が持てて嬉しいなあって思いながら「学年全体でやりたいねー。」なんて言った。おおむねみんな同意で、いずれやりましょうって言いながら、

 「あれ。でもさ、うちら、卒業式の日に同窓会幹事って決めなかったっけ? 男子女子各一名ずつ。」

 と言った。確か決めたはずだった。俺は、Mがそうだと思っていたし。
 あー。そうだ決めた決めた。で、誰だっけ? なんて言っていたら
 「お前だよ。」と。
 「え・・・ おれ・・・?」

 俺だった。
 そうか! だからこれまで同窓会ってのが開かれなかったのか! 幹事が忘れてたらないわ。ないない。
 けっこー全員から非難ごうごうだったけど、そんなんも楽しかった。女子は、なっちゃんだった。なっちゃんも、そうだっけ。ごめん。って言ってた。
ビールがおいしかった。

なっちゃん

 なっちゃんは、変わってなかった。相変わらず、おっとりしているし、よく笑うし、かわいかった。
 なっちゃんの魅力に気がついたのは俺が高校を卒業する直前で、だから、好きだとも思わなかったし、どうしてもっと早く気がつかなかったんだろうと思った。クラス会にあたって、なっちゃんが来るかどうか気になったし、会えたら告白しようと思っていた。
 告白ったって、何をどうしたいわけじゃなくて、なっちゃん、俺きっとなっちゃんのこと好きだったよ、なんて言うだけでいいし、なんとなくそれくらい許されるような気がしていた。
 なっちゃんは結婚して、子供がいて、主婦になっていたみたいだった。わざわざ隣の県からやってきて、隣の県まで帰るといっていた。
 隣の小川さんとも懐かしくたくさんの話しをして、小川さんも変わってなくてかわいくて、そういえば男子に人気があったな、なんて思った。
 
 でもなんだか、みんなの顔見てたらそういうのどうでもよくて、楽しくて、嬉しくて、好きとか嫌いとかじゃなくて、ちょっとでも長くこのままいたいような気分になって、ビールがおいしかった。

 その他の女子もけっこーもう記憶が戻ってきていて、同じ演劇部だった女子と話をし、誰だかわかんない女子と旦那の出会い系サイトについて話をしたり、農業の男子が隣に座るなり「貧乳が好きだ。」とつぶやいたから、どんな流れで貧乳なのかわかんないけど、「お前とは気が合いそうだ」と握手をして、ひとしきり貧乳について語り合った。女子にも話した。酔っ払っていた。ビールがおいしかった。

最後にリョウ

 遅れて男子が一人到着した。「あ。リョウがきた。」と誰かが言ったので入り口を見ると、リョウがいた。
 とにかく本の虫で、一日中本を読んでいた。友達も少なくて静かな男は、変わりものだった。修学旅行同じ部屋だったが、なぜかリョウは京都の晩、新京極で買った新撰組のはっぴを着て、重ねた布団の上で胡坐を書いて座っていた。俺たちはそれを見て笑っていたし、へんなやつだと思っていたし。
 そのリョウが、杖を突いて店に入ってきた。どうしたのかと思ったが、タバコも吸っていたし笑って話をしていたのであまり気にしないことにした。
 しばらくしてリョウの隣に座ったときに「どうしたの、オマエ。」って聞いた。
 「いやあ。車に轢かれてさ。25箇所骨折して、股関節とかなくなっちゃったよ。」と笑った。
 「そっか。だいじょぶなんかよ。いつ。」俺も笑って答えた。
 「1年前かな、2年前かな。」またリョウが笑った。
 「こないだじゃねえか。」あまり笑えなかった。

 正直、若いころに大病して脚が動かなくなっちゃったんだよね。なんて言ってもらうほうがよかったと思った。なぜかはわからない。
 「で、リョウは今なにしてんの。」
 「仕事してる。隣町の介護施設で働いてるよ。事故以来内勤にしてもらったけど、12年になる。」
 「そっか。家族は。」 ケッコンは、とは聞けなかった。
 「嫁さんと娘が4人だ。父親には怒られてるよ。息子を作れって。」
 「そうか。うちは親戚まで13人連続男がいるから、2,3人わけてやるよ。」
 「頼むよ。ハハハ。」
 笑いながら話をした。でもオマエ、良かったな。ほんとによかったな。何度も言った。

おひらきに

 夜もふけて子供のいる女子がだんだんいなくなり、なっちゃんも帰っちゃったころ、リョウが変えると言い出した。
 この後一人で行きつけの店に行くと言っていたから、俺も付き合うことにした。
 夜の街を杖を突いたリョウと歩きながら昔話をたくさんした。あんまり覚えてないけど。
 リョウの行きつけの店は休みで、一見の店でウイスキーを飲んだ。やけにうまいウイスキーだった。
 ただひたすら話をした。
 「オマエは修学旅行の晩ハッピ着て一人で座ってた男なんだ!」
 「そんなことしてたっけ? 覚えてねえや。ハハハハ。」
 リョウは高校時代と変わらずに、まっすぐに人の目を見て話をする男だった。なんというか、負けてらんねえと思った。


 
 今回クラス会に行く前、過剰とも言える期待と心配を抱えていたのだけど、行ってみたらそんな予想とかをはるかに上回るくらい楽しくて仕方なかった。勝手に俺だけ楽しんでたのかもしれないけど。最近うまい酒って飲んでなくて、話をつまみにたらふく飲んだ。
 ひねくれた人間だと自分のことを思っているけれど、こんなに純粋に楽しいなんて、けっこーピュアな部分があるんじゃねえ? って勘違いしてもいいレベル。
 ほんとおもしろかったっす。皆さん是非クラス会とか同窓会とか行った方がいいです。絶対。